老後の「家賃がもったいない」。なけなしの資金で“安い古家”を買ってはいけない理由

年金生活になると毎月の家賃が不安になり、「手元の資金で、安い古家や古いアパートを買ってしまえば一生安心」と考える方がいらっしゃいます。先日も同様な相談を受けましたが、不動産のプロとして「絶対に買ってはいけない。賃貸のまま住み続けるべき」と止めました。

※大前提として、潤沢な老後資金があり、将来すぐに売却・賃貸できる「好立地の資産価値が高い物件」を購入する場合は全く別のお話です。今回はあくまで「将来の不安から、なけなしの資金で出口のない安い古家を買う」ケースへの警鐘です。

一見「家賃ゼロ」で得をするように思えますが、そこには老後を脅かす3つの落とし穴があります。

① 買っても「住居費ゼロ」にはならない
家賃の支払いはなくなっても、固定資産税や火災保険、そして「修繕費」が全額自己負担になります。古い家は雨漏りや給湯器の故障などで突然数十万〜百万円単位の出費が発生するため、結局は家賃と同じくらいの維持費が消えていきます。

② 手元の現金は「老後の命綱」
高齢期は医療・介護費や施設の入居費用など、予測不能なお金がかかります。老後の命綱である現金を「家という石の塊」に変えてしまうと、いざという時に身動きが取れなくなります。

③ 最後は「負動産」になり解体費を背負う
将来施設に入ることになり、家を手放そうとしてもさらに古くなった家は売れません。「更地にしないと引き取れない」と言われ、数百万円の解体費を自腹で払ってマイナスで終わるのが生々しい現実です。

■ 現に賃貸に住んでいるなら、そのままが一番強い!

もし、今すでに賃貸物件に住んでいるのなら、そのまま住み続けるのが実は一番賢く、最強の選択肢です。

なぜなら、日本の法律において賃借人は非常に強力な「居住権」で守られているからです。大家さんの都合で一方的に追い出されることは原則ありません(※ただし、家賃の滞納は絶対にNGです。毎月しっかり支払うことが大前提となります)。

家を維持するリスクや修繕のコストはすべて大家さんに任せ、自分は法律に守られながら身軽に暮らす。そして、もし将来どうしても家賃の支払いが厳しくなったとしても、各自治体には格安で住める「公営住宅(市・県営住宅)」というセーフティネットが用意されています。

不動産屋の私たちが「家を買うな」「公営住宅もお勧め」と言うのは商売あがったりですが(笑)

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