時が止まった部屋。遺品整理と、今の暮らしを大切にする決意。

部屋の中

不動産の仕事をしていると、時が止まってしまったようなお部屋に出会うことがあります。そこには、かつて誰かが懸命に生きていた証である衣類や書類が、山のように積み重なっています。

以前、親族の家の片付けを手伝った時のことです。
何か失くしものがあると騒ぎ、実はそれが座布団の下に隠され、さらにその上にまた別のものが……と「層」のようになっていました。箪笥の前には新しい物入れが置かれ、中のものは二度と取り出せない状態。それは、整理整頓という理屈を超えた、老いゆえの「不安」が形になった景色でした。

こうしたお部屋を真っさらな状態へ戻していく作業を繰り返すうち、私自身の心境にも変化が訪れました。

「人間、死んでしまったら、どんなに大切にしていたものも、残された人にとっては『ゴミ』になってしまうこともあるのだ」

その事実に直面してから、私自身も身の回りのものを手放すようになりました。
「いつか」のために溜め込むのではなく、「いま」を心地よく過ごすために、空間を空けておく。それは、自分自身を自由にするための、大切な儀式だと思っています。

関連記事

  1. ホームステージングされた明るいダイニングの風景
PAGE TOP